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essay200908

【エッセイ】

三浦百恵と松嶋奈々子

笠原仁子

山口百恵は三浦百恵になったけど、松嶋奈々子は、反町奈々子にはならなかった。

婚活時代の到来で、周りで結婚するという報告をしてくださる若い女性が増えています。そのなかで、ここ十年ほど続いている混沌状態が、結婚した女性の姓をどう呼ぶかということ。

男女雇用均等法以前の筆者の世代は、新婚旅行から帰ってくると職場のロッカーから名刺まで全部結婚した姓に変わっていて、人事には「この会社ではこれがルールです」と有無を言わさず、新しい苗字で、という状況でした。

最近では、どこも通称としての旧姓を通すことを会社や役所も認めるようになり、結婚しても職場では旧姓を通してもよし、結婚した姓を使ってもよし、本人に任せますというのが主流のようです。

私の印象では旧姓を使い続けている人が多いようにも思いますが、職場にもよるのかこのような話を聞くと、結婚した姓を使う人も少なくないのかもしれません。それは、結婚を解消した人が「苗字をどうしよう。結婚してから本格的な仕事の実績を上げているのに、旧姓に戻すといままでの実績がなくなってしまう」と悩んでいる場合です。それに苗字が変わると、仕事で付き合いのあるさまざまな人に実は名前が変わりました、と言わなくてはならないのは精神的にも事務的にもとても負担のかかることです。

こんなことから、結婚しても職場の姓は変えない方がいいよね、という人が、増えているのでしょう。独身、結婚、離婚、再婚とそのたびに苗字が変わり(変えさせられ)、結局いまは何と言う苗字だったかしらと思う女性アナウンサーもいます。彼女の仕事は、彼女が結婚しているのかどうかとは関係なかったのだから、こんなに変える必要はないのになと思ったものです。

解決策として、「ミドルネームはどうだろう!」という意見もあります。鈴木・斉藤・かおるに慣れるのは少し時間がかかりそうですが。

2009年8月

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