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学会誌5号:論文3(水本)

テレビドラマにおける女性言葉とジェンダーフィルター
―文末詞(終助詞)使用実態調査の中間報告より―

水本光美

要約:「女言葉」や「男言葉」の存在が日本語の特徴の一つであるといわれる。しかし、最近の日本の若い世代の女性達が昔ほど「女言葉」を使わなくなっているというのも実感として感じる。本研究では、20代から40代の現代女性のカジュアルな場面での日常会話を収録し、20代から30代の女性達の話す文末における「女性文末詞」の使用は皆無に近いという結果を得た。しかし一方において、現在放映されているテレビドラマの中の若い女性達の話し言葉の調査から、テレビドラマでは、いまだに「女性文末詞」を頻繁に使用していることが観察された。本稿では、現実の若い女性達の使用言葉の調査および最近のテレビドラマの中で使用される若い女性達の言葉遣いの調査を通して、そのギャップの原因が脚本家の年代よりむしろ性別と意識に起因するジェンダーフィルターに存在する可能性があるということを分析する。

キーワード:女性言葉、女性文末詞、現代の若者、使用実態調査、テレビドラマ、脚本、ジェンダーフィルター

1.    はじめに

カジュアルな会話の中で通常使用されると言われてきた「女性言葉」や「男性言葉」(いわゆる「女言葉」や「男言葉」)がつくる日本語の男女差は、日本語を特徴づけるものの代表格として従来取り上げられてきた。実際に、日本語を外国語と して教える日本語教科書や聴解問題などの会話にも、しばしばこの男女差は強調され、とりわけ男女の性差を明示的に弁別する文末詞はよく利用されている。我 々が日々見聞きするテレビというメディアにおいても、ドラマや映画やコマーシャル等のなかに頻繁に使用されているのが認められる。

<テレビドラマ会話例1>注1)
A:なんかお似合い
B:そおお?
C:ほら、すぐ勘違い。悪いけど、それ、バーゲンの服がお 似合いねって言われてるみたいで、なんか不愉快だわ
B: でも・・・ほら、Cちゃんは何着ても似合うっていう意 味かもよ。
C:あっそうかあ・・それなら・・・
A B C:  あはは!/うっふっふっふ(笑)

<テレビドラマ会話例2>注2)
D: きてくれてよかった。ありがとう。どうしてかしら、なんだか胸がすっと楽になった気がする
E: そう・・・よかった。

<テレビドラマ会話例3>注3)
F: まだ一敗だ。一回負けただけでバイオリンで一敗だ。ピアノを頑張ってうまくいったら一勝一敗になる。
G:私、相撲取りじゃないわよ
F:ちゃかさないで。

上述の会話例1、2、3に見られるように、ごく最近のテレビドラマにおいても、登場人物中の女性は、若い女性であっても、女性特有とされる文末詞(終助 詞)の使用により、女性であることが明示されていることが多い。テレビの映像を見ていれば、誰が女性であるかは一目瞭然である。しかし、ドラマでは意図的 に若い女性にも女性特有の文末詞(以後「女性文末詞」と言う)を使わせている。これは、母親世代の会話でも母親がかつて若かりし頃の時代設定の会話でもな く、2004年の現在の日本社会を設定したドラマのなかの20代の男女の会話である。我々は、ともすると、「これはドラマだから」と聞き流したり、ドラマ の内容に引き込まれて気づかなかったりすることが多いが、このような若い世代の女性の「女性文末詞使用」は、現実に現在のテレビドラマでは珍しくない。

しかし、現在の実社会に生きる若者たちの間でも、果たして、同様な男女差がいまだに存在しているのであろうか。首都圏の街中で実際に耳に入ってくる次のよ うな若者達の話し言葉の中には、もはや、それらの男女差は従来のようには認められなくなっているのが現実である。

<実際の会話例1>注4)
(美術館で鑑賞中)
A: お腹空いたね。あ、あれいいよ。ちょっと、コンピュータ・グラフィックみたい。
B: でも違うよ。
A: 「14のさくらんぼ」、暗いね、これね。(うん)すっげえ暗いね。暗い人なのかな? あ、何これ。何かこ れサランラップ巻けそうだよ。
B: どうやって描いてあんの?(どれ?)これ別にさ、絵の具で描いたわけじゃないよね。
A: うん、どうやって描いたのかなー、ね。これ何かな?

<実際の会話例2>注5)
C: 何時に帰ったの?
D: 10時過ぎ。
C: んじゃあ、とんとんだよ(とんとん?)あの、何だっけ、一次会が終わって・・・
D: うんうん、その後カラオケに(行かなかった、カラオケは)行かなかったんだ。
C: そんな気分じゃなかった。もうテンションどんどん低くなって(どんどん)むしろ低くなってんの。
D: そんなにダメだった?(んー)本当・・・。
C: 何かねえ、何だろうね、卒業してろく、えっ、6年? 経ってんだよね。

上述の<実際の会話例>は、どちらも20代半ばの二人の会話であるが、「女性文末詞」が現れていないため、文字だけではどちらが女性か男性か判別出来な い。どちらも同性である可能性もある。実際は、AとCが女性でBとDが男性だが、この会話の4人は、ごく一般的な東京弁を話す若者たちである。この会話例 に代表されるように、現在の若い世代の女性にとっては、前述のテレビドラマの会話例に現れるような「わ」「わよ」「だわ」「かしら」「体言+ね」などに代 表される従来型の「女性文末詞」は過去のものとして消滅してしまっている。それにも拘わらず、現代のテレビドラマの多くは、相変わらず若い世代の女性が友 達や恋人や家族らに対して「女性文末詞」を使用して話している。なぜ、脚本家は現実には反して過去の物と化した「女性文末詞」を意図的にしろ無意識的にし ろ好んで用いるのだろうか。

本稿は、これらの疑問から出発し、特に、文末詞(終助詞)使用の観点に焦点を絞り、現在の若い世代の女性の「女性文末詞不使用」に関する調査結果を報告する。それとともに、現在のテレビドラマの「女性文末詞使用」に関する実態調査結果を比較対象とし、ドラマの脚本家に及ぼすジェンダーフィルターの可能性について考察を試みるものである。

2. 女性文末詞の衰退傾向

従来の女性特有の文末詞の代表格として、「わ(よ)」「かしら」「の(よ)」「て(よ)」「(名詞)+よ」「こと」等があげられる。小川 (2004)によると、辞書説明では、典型的な女性語とされるものは「わ」と「かしら」である。マグロイン(1997)は「”わ” や ” の” などは主張度が低く相手との心的距離を縮めようとするため丁寧な言い回しであり、従って” 女らしさ” が存在する」と女性文末詞を解釈している。鈴木(1998)は明治前期から昭和後期にかけての文学作品中に見られる女性文末詞を調査分析したが、明治以 後、女性文末詞は「わ」を中核としてその体系を形作っていったと説明している。また、昭和後期の初め頃、文学作品において盛んに用いられていたワ・ノ・ネ 型のうち、「わ」の優位性がそれ以後揺らぎ、様々な文末詞が新たに用いられるようになったと観察している。

文学作品のみならず、実際の会話データ分析によっても、「わ」の衰退傾向は報告されている。職場における女性の文末形式に着眼した尾崎(1997)は、 「わ」の使用は実際の会話においては極めて少なく、「だわ」は、もはや皆無に近い『死語』『旧女性専用形式』に近づきつつあるとしている。また、同じく職 場における女性の疑問表現の観点より、中島(1997)も、「わね」「わよね」「かしら」は衰退傾向にあり、「かな」「かね」「だよね」などの男性的疑問 表現が中立的疑問表現として女性にも使用される傾向にあると報告している。

家庭内の日常会話に焦点をあて20代~80代の女性達の使用言語調査を実施した小林(1993)も、20代の娘達の言葉は明らかに母親たちよりも「女性 語的特質」を持たず「中性化」していると指摘した。同様に、家族内の3世代の女性達の話し言葉を調査した三井(1992)も、20代の娘は「わ」「わよ」 「わね」「かしら」などは全く用いておらず、「よ」「よね」を母親や祖母より多く用いるというデータを呈示した。

最近の代表的調査研究として、小川(1997,2004)による1996年当時の日本人大学生の親しい者同士による会話データ分析がある。この調査データ によると、「のよ(ね)」、「過去形+の」(e.g.「やめたの」「待ってたの」「いやがってるって感じだったの」)は現代の若い女性特有の文末詞であ り、従来、女性特有語の「わ」、「体言+よ」(e.g.「こっちの籠の中よ」)は現代若者の会話には少ない。反対に、現代若者世代の女性に好んで用いられ るものとして、「の」(非疑問形)、「いい差し/体言+ね」(e.g.「作ってくれるしね」「一番ね」)、「よね」、「だね」「だよね」があげられ、従来 の女性特有の文末詞は殆ど用いられなくなっており、従来男性語とされていた文末詞を現代若者世代の女性達も男性と変わりなく用いていることが指摘された。 以上の先行研究から、昭和後期以降の若い世代の女性達は、従来、直接的に響く男性語の「だ」を和らげるために用いていた女性語の中核的「わ」や「かしら」 を用いず、男性と同じ表現を用いるようになっていることが明らかである。

3. 現在の女性文末詞の使用実態と意識調査

先の尾崎、中島、小川らによる調査からすでに8年から10数年を経た現在、当時大学生や20代であった若者達も、現在はすでに30代近くから30代後半 頃の社会人であろう。彼らの年代と現在の20代では、女性文末詞使用には変化はあるのだろうか。彼らの上の年代ではどうだろうか。1996年に実施した小 川の調査以来、参照可能な新たな調査データは見あたらない。また、女性文末詞使用に対してこれらの世代はどのような意識を持っているのだろうか。その意識 に男女差あるいは世代差はあるのだろうか。小川の調査対象は大学生に限定されているため、この疑問に応える調査分析は前項の小林(1993)の世代別調査 以来、最近では未踏である。

そこで、現在20代、30代、40代の女性達親しい者同士の会話データを採りこれら三世代の女性文末詞使用実態を調査分析するとともに、会話参加者女性 30名と同世代の男性20名にアンケートをして女性文末詞使用に対する意識調査を実施することにした。

3.1 女性文末詞使用実態調査
3.1.1 会話データ収集:調査・分析方法

2004年3月から4月にかけ、東京都および近郊在住の20代、30代、40代の女性東京弁話者の各世代10名、合計30名対象に女性文末詞使用実態調 査を実施した。調査方法としては、「普通体」を用いて話す親しい者(友人、恋人、夫婦、同僚と)との2,3名の会話を約30分間録音し、それを文字化した ものから、各人の発話における女性文末詞の使用数を数え総発話数に占める割合を算出した。会話は主に女性同士だが、男友達、恋人、夫との会話も計4組あっ た。会話のテーマに関しては指定せず「気軽なおしゃべり」とし、自由に話してもらった。会話内容の文字化に際しては、基本的には宇佐美 (1997)による『基本的な文字化の原則』(Basic Transcription Systems for Japanese :BTSJ)に基づき発話数を算出した。表1

調査対象とする文末詞は、小川の指摘した当時(1996年調査時)20代前半の女子大学生が好んで用いる「いい差し+ね」(前項2)以外の従来女性特有 とされた次の文末詞である。
(1) わ (2)だわ (3)かしら (4)わね (5)わよ (6)体言+ね (7) 体言+よ (8)のよ (9)のね (10) の(非疑問形)

3.1.2  会話データ収集:調査結果と分析

図1はその統計結果である。各世代ともに多数使用されているのは、非疑問形の「の」であり、20代が最多の3.2%、30代は2.3%、40代は 2.8%と、概ねどの世代にも用いられている。このことは1996年の小川による調査でも当時の女子大学生が多用していると指摘されていたことから、この 傾向がその後も継続し、現在も生きているということが分かる。

次に各世代共通のものとしては、「のね」の使用であるが、これも、20代が最多の1.0%、30代では0.6%、40代では0.8%である。「の」の使用 と同様に、20代で数値が若干上がっているものの、「のね」の使用が今後、女性文末詞として若い世代に受け継がれてゆくか、それとも消滅してゆくかについ ては、今後さらにデータを増やし調査を継続することが必要である。

その他の文末詞は、年代が若くなるにつれ消滅傾向を示している。「のよ(ね)」と「体言+よ」は40代での使用が4.6%と2.5%であり、40代後半 に比較的よく使用されている。しかし、30代ではそれぞれ0.4%、0.1%と大幅に減少し、20代においては、双方とも消滅している。「体言+ね」と 「かしら」は40代、30代と減少してゆき20代では皆無である。

従来の女性文末詞の中核をなしていたワ系列の「わ」「だわ」「わね」「わよ」においては、40代でもさほど多くは見られず、(それぞれ0.2%、 0.0%、0.5%、0.8%)30代では唯一「かしら」の使用が30代末の3名に認められたが、その他は30代にも20代にも全く使用されていない。 従って、21世紀の若い女性たちの親しい者同士間の会話からは、もはや従来の女性語の中核であった”ワ系列”は全く消失してしまったということが明らかで ある。

この調査結果は、次のようにまとめられる。
(1) 三世代ともに使用が認められるのは「の」と「のね」である。
(2) その他の女性文末詞は、40代後半以上には残存しているが、40代前半から30代末頃にかけて徐々に死語になりつつあり、それ以下の30代では死語となっている。
(3) 20代では女性文末形は「の」と「のね」以外はすでに死語である。

3.2 意識調査アンケート
3.2.1 調査方法

前項の会話録音の直後に、会話参加者たち女性30名と男性6名に対して記述式アンケート調査を実施した。内容は、会話形式の具体的状況設定を与え、女性 文末詞を選択するかどうかを見るものであり、次項で述べる実際のテレビドラマで女性文末詞が使用されていた状況と会話例を使用した。特定のドラマを連想さ せないように固有名詞を削除し、場所などの連想しやすいものには若干変更を加えたが、その他は概ね実際のテレビドラマの状況と酷似している。また、後日、 会話に参加していない30代と40代男性にも同じアンケートを実施した。アンケート実施人数は、女性30名(回収率100%:20代10名、30代10 名、40代10名)、男性18名(回収率86%:20代6名、30代9名、40代3名)の合計48名である。

アンケート調査内容は、<質問1>A~Gまでの7種の場面設定した短い会話の中で会話形式の状況設定を与え、女性文末詞を選択するかどうかを見るもの と、<質問2>どのような場合に女性文末詞を使用するか(女性向き)、あるいは、同世代の女性が女性文末詞を使用した場合、どのような感じがするか(男性 向き)を問うものの2種類である。アンケートの内容例は本文の参考文献の後に付録として示す。

3.2.2 調査結果

アンケート調査では、前項3.1.2の会話データの結果を参考にして20代女性が現在も使用している「の」と「のね」は調査対象には含めなかった。ここ では、主に30代と20代女性が実際の会話では不使用であるその他の女性文末詞8種を対象に、結果の統計分析を行った。

図2はアンケート調査の<会話形式の質問>(質問1)に対する女性と男性の回答結果の平均値であり、回答者のうち女性文末詞を選択した割合を示している。 これからも明らかなように、男女の意識には隔たりがある。女性文末詞を使用しない世代の20代と30代の男女別の回答を比較してみると、どちらの世代も女 性は全く使用しないか使用しても微量であると認識しているにもかかわらず、どちらの世代の男性も「使用してほしい」との願望が強い。(図3図4)20代 では5%の女性しか使わないと答えた「のよ」を92%の男性が使ってほしいと思い、30代では10%の女性しか使わないと答えた「体言+ね」を89%の男 性が最も好ましく思っている。特筆すべきは、20代30代女性の使用が皆無かそれに近い「ワ系」の文末詞を同世代の男性達の多くが女性に使用されることを 望んでいることである。特に「わよ」は20代の男性の半数以上(56%)、30代男性の半数近く(44%)が好ましいとしている。30代男性の「わね」願 望(56%)や20代男性の「わ」願望(29%)も際立っている。

<女性文末詞使用に対する意識>(質問2)に関するアンケート結果でも、男女の女性文末詞使用に対する意識には、図5-a図5-bに示したように落差 が明確に現れた。女性文末詞使用に対して男性が明らかに「女らしい」や「大人の女性」として感じ、「ロマンチック」「セクシー」と意識しているのが61% を占めるのに対し、女性が「女性らしく振る舞いたい」などと意識しているのは、わずかに15%である。女性の回答では「年配の人や目上がそばにいる場合」 (28%)や「相手との関係をよくしたい」(19%)など、社会的により良い対人関係を保つための「丁寧語」としての認識が半数近く(47%)を占めたの に対し、男性が「同意や共感を求める」「距離を縮めるため」と対人関係を挙げたのは11%と少ない。女性の23%が「笑いを取りたい」と答えたが、これは 主に20代の女性であり、20代の男性も同じく「冗談っぽい」「不自然」などの違和感を覚える人が多い。

年代別に男女の意識差をまとめると、もはや、20代の女性にとって、女性文末詞は「小説やドラマの中のことだけ」であり、「冗談以外では使わない」よう になっている。20代の男性は、同世代の女性がそれらの文末詞を実際には用いていないことを認識していながら、しかし「女らしくていい」と好感を持ってい るが、その反面、実際に同世代の女性がそれを使うと「冗談っぽくきこえる」ようでもある。

30代の女性もやはり「小説やドラマの中だけの言葉」であり「冗談かふざけてしか使わない」人が多いが、「相手が年上の女性であれば、相手に合わせるた めに使うこともある」と相手との関係を考慮していることが多い。30代の男性は、若い女性が使うと「気取っている」感じを受ける人が多いようであるが、し かし、「女らしくていい」や「同意・共感を求めているのだろう」と好ましき言葉遣いとして受け取っている。

実際に女性文末詞を用いることもある40代の女性たちは、かえって「親しい間では使わない」ようにし、相手により会話の流れをスムースにしたい場合に用 いることもある。40代の女性が「ウチ」では使用せず「ソト」向けの言葉として女性文末詞を認識しているのに対し、40代の男性は「女らしくていい」「ロ マンチック」と一種のあこがれの対象としているところに、女性の意識とは大きなギャップが存在する。

4. 現在のテレビドラマにおける女性文末詞使用実態調査

前項では、現在の20代30代の若い世代の女性達は女性文末詞を使用しないという調査結果が出たが、現実に現在テレビで放映されているテレビドラマの中 で同じ年代の若い女性たちはどのような言葉遣いをしているのであろうか。前述の女性文末詞使用に限定し、それらが実際にドラマの中の若い女性達に使われて いるかどうかを調査した。

4.1 調査の概要
4.1.1 調査対象と調査方法

調査時期は2003年1月から2004年5月までの約1年半、当時、実際に放映中の最新のテレビドラマを調査対象とした。調査対象とするドラマは次のよ うな条件で選択した。
(1) 現在の日本社会を扱ったもの。
(2) 20代、30代の若い女性主体のもの。
(3) 家族、友人、恋人らとの日常生活を題材とするもの。
(4) 原作が、アニメやマンガではないもの。
(5) 昭和末以前制作の映画のリメイクではないもの。
(6) 小説のドラマ化は、原作の言葉遣いに若い女性の女性語が出現する場合、それを忠実に再現したものではないもの。

 (4) のアニメやマンガでは、女言葉は子供でも強調され使用される傾向があり、脚本にも原作の言葉遣いが影響する可能性が高いため、排除した。また、(5)の過 去の映画のリメイクも、元の映画の中で用いられる女言葉の印象が脚本に影響を与える場合が認められるため、これも適切な調査対象ではない。(6)の小説の ドラマ化は、場合によるが、やはり、オリジナルの小説の中の言葉遣いに影響を受ける恐れがあるため、吟味して選択する必要性がある。

以上の条件を満たすドラマとして、朝昼ドラマ4種、夜ドラマ13種、計17種を調査対象として選択した。注6)

調査方法としては、まず、各放送局の最新の代表的ドラマをアトランダムに数回録画し、調査対象に適切かどうかを判断した上で、対象ドラマの中の登場人物、 その年齢、職業、相関図などを把握。その中で10代半ば10名、20代22名、30代半ばまで24名の計56名の若い女性の女性文末詞使用場面の言葉遣い を筆記記録し、年代別、文末詞別の使用率を算出した。30代半ば過ぎを除外したのは、30代末ごろの女性が実際には若干女性文末詞を使うこともあるという 前章3.1の会話調査の結果を踏まえてのことである。この章では、前章の調査結果から死語化している事実が判明した年代(30代半ばまで)に焦点をあて、 その年代がドラマの中でどの程度死語を使用しているかを調査することを目的とするため、30代半ば過ぎはデータには含めないこととした。また、ここに当初 の筆者の想像外であった10代の女性を統計対象に加えたのは、次項で述べるが、その比率が極めて高かったためである。女性達の職業は、主婦18名、キャリ ア10名、OL7名、水商売5名、教師4名、大学生と高校生が各6名である。

4.1.2 調査結果と考察

10代半ばから30代半ばにわたる三世代の登場女性たちの中で、最も頻繁に女性文末詞を用いるのは30代前半の女性であり、ほぼ全員(96.1%)であ る。20代では20%下降して76.3%であり、10代の高校生や大学生たちでも僅かに使用率は下がるがその比率はなお高く70.0%を占めている。それ も図6の女性達の職業別をみると明らかなように、大学生で66.8%、高校生で100%の使用率という高さである。

女性文末詞を使用している女性達の職業をみてみると、高校生に次いでキャリアたちの使用率90%が際だっている。主婦やOLなどと比較して社会の中で男 性と同様に仕事で成功している女性たちの言葉は中性化しているかと予想していたが、ドラマの中のキャリアたちは積極的に女性文末詞を使用している。前項の アンケート結果において、30代の女性たちが女性文末詞を「相手が年上の女性であれば、相手に合わせるために使うこともある」と相手との関係を考慮して丁 寧さを意識して使用しているとあったが、ドラマの中では、相手が年上、年下、男性、女性、家族、恋人、友人などのケースがあり、相手や状況に関係なく女性 文末詞を使用している。

教師という職業は、職場において比較的男女平等であり、社会的な役割差別も少ないと言われている。そのためか、最近は小中学校の女性教師も生徒に対する 場合、男性教師と変わらない言葉遣いが増えている。女性教師に関する予想は、キャリア以上に中性的、あるいはむしろ男性的な話し方をするのではないかと 思ったが、現実のドラマの中では、女性文末詞の使用率は70.1%と高い。しかし、データ素材が4名だけであったため、データ数が増加すれば、結果は変わ る可能性もあると予想される。

水商売の女性たちは、男性をもてなすために好んで女性言葉を使用するというのが、筆者の理解していたところであるが、今回の調査対象ドラマでは、他の職 業に比較して最も少ない使用率(60%)であった。しかし、このデータ数も5名と少なかったため、データ数の増加にともない利用率も上昇する可能性もある ことが考えられる。

次に、実際のドラマの中で使用されている女性文末詞の例を掲げる。

<ドラマ1>
A子: あの、私もいいかしら。あのガラスの靴って走ったり踊ったりしてもどうして割れないのかしら
B子: そうそうそう、私も変だと思ってたのよ。 (A子、B子、→ 近所の30代前半の主婦)

<ドラマ2>
C子: 間に合った!
男 : 来たんだ・・
C子: 来たわよ。だって、約束したじゃない。 (C子 → キャリアに戻ったもと主婦31才)

<ドラマ3>
(1)D子: 口紅が濃すぎるわよ。うちは品格を重んじるの。 気をつけてちょうだい!
(2)D子: 失礼ねえ。誰に向かって言ってるのかしら
(3)D子: みそこなったわよ。訴えてやりたいけど、ばかばかしいからやめるわ。
(4)D子: これ、あやしいわね。同じ場所で食事してるわ、何度も。この近くに女の家があるのかもしれないわねえ。(D子 → 34才弁護士)

<ドラマ4>
E子: 遅すぎたのよ、私やっぱり行けないわ。
男 : E子・・・
E子: 遅すぎたのよ。私、待ってたんだけど…あなたのこと…
男 : 責めてやしないよ、別に何かあったとしても、僕のせいだから…(中略)
E子: ごめんなさい…私、行けない…(E子 → 20代半ば OL)

<ドラマ5>
男 : 見栄や世間体にこだわることがそんなにいけないことかな。
F子: いけないわよ。いやらしいわよ。(中略)
F子: でもそういう気持ちのために彼氏と別れさせたりしたら、たまんないわよ
(F子 → 16代高校生)

<ドラマ6>
(1) 男  : 俺はそんなにりっぱな人間じゃないよ。
 G子: 違う。(違う?)あなたは心のきれいな人だわ。私、信じてる。(信じる?)
    あなたについ てゆく。どんなことがあっても信じてあなたについてゆく。

(2) H子: G子、X君を待つのよ、禅寺から出てくるまで待って結婚するのよ
(G子、H子、→ 17才高校生)

5. ドラマ脚本家別「女性文末詞」使用状況

現在のテレビドラマでは、今なお若い女性たちが女性文末詞を使用していることが前述の調査で明らかになった。ドラマには脚本の台詞が存在し、登場人物た ちはあらかじめ脚本を読み台詞を覚え、ドラマの中では台本に忠実に台詞を話す。その脚本を作成するのは脚本家であるが、今回の調査対象ドラマの脚本家につ いて、その性別、年齢を調べ、彼らがドラマの中でどの年代の若い女性達に女性文末詞を頻繁に使わせているかを観察した。

表2表3は、女性脚本家7名と男性脚本家9名別の女性文末詞使用状況である。女性脚本家Eに関しては、2種の異なるドラマの脚本を担当しているが、そ の他の脚本家担当のドラマはそれぞれ1本ずつである。表中、色で塗りつぶしてある欄は、その年代の女性全員に女性文末詞を使用していることを示している。 「NA」で示してある欄は、主要登場人物にその年代の該当者が存在しないことを表しており、星印の欄は、その年代の女性に女性文末詞使用が認められないこ とを示している。

これらの表から、女性脚本家7名のうち3名が20代の女性に女性文末詞を使用していないが、男性脚本家は、20代の女性が主要登場人物として登場するド ラマには、7名の脚本家のうち6名が女性文末詞を使用していることが分かる。注7)30代半ばまでの女性に対しては、女性脚本家は1名を除いてほぼ全員の登場人物に女性文末詞を使わせている。意図的に使わせていないのは、一人の脚本家 のみである。しかし、この世代においても、男性脚本家は登場人物には全員使わせている。更に、特筆すべき点は、これらドラマの中に登場する10代の女性た ちには、男性脚本家も女性脚本家もともに使わせていることである。

脚本家の年齢をみると、男性は1名不明なものを除いて全員40代から60代であるが、女性は30代半ばから50代半ばまでと年齢層が広い。では、女性文 末詞使用は脚本家の年齢に起因しているのかと言えば、そうでもないことが分かる。例えば、30代の女性脚本家3名中2名は使用しているが、50代の女性脚本家は20代女性には使用させていない。従って、脚本家の年齢が必ずしも要因であるというわけではないと言え る。むしろ、少なくとも男性脚本家全員が、これら三世代の若い女性達に女性文末詞を使わせていることから、男性脚本家のほうが、これらの世代の女性達が実 社会においては女性文末詞を使っていないという現実に着目しない傾向があると思える。遠藤(1997)はその著書の中で文化庁が1995年に実施した「国 語に関する国勢調査」の統計結果を紹介し、「ことばの性差に関する意識は世代差がきわめて大きい」「高齢者ほど、しかも男性ほど性差があるほうがいいと考 える」と分析している。国勢調査結果が示すように、また、本研究のアンケート調査の結果と同様に、男性脚本家が女性語に対する「女性らしさ」や「丁寧さ」 などのジェンダーフィルターに影響されている可能性がないとは断言できない。また、女性脚本家7名中3名が20代の女性に女性文末詞を使用させていないこ とから、女性脚本家のほうが、女性の言葉遣いの変化に敏感に反応し、現実により近い形の言語使用を試みはじめているとも理解できないだろうか。

しかし一方、会話を文字化した脚本においては、限られた映像時間内で描写する必要性から、伝えたい要素を実際の会話より凝縮化、簡潔化する傾向が見ら れ、ゆえに、実際の会話とは異なるものである、との見方もあるであろう。また、脚本家には自らの役柄に対するイメージや役柄により表現したいことを言葉と して表すため、現実社会の言葉遣いを忠実に具現化する必要はないという考え方もあるであろう。

いずれにせよ、脚本家の言語使用実態調査のデータはまだ充分ではないため、この傾向が明らかであるかどうか確認するためには、今後、データを増量したう えで分析する必要性がある。また、脚本家がどのように登場人物の言語使用を決定してゆくかに関しては、今後、脚本家への意識調査などによりデータをさらに蓄積し、その調査分析結果により検討する必要があるであろう。

6. まとめ

本研究は、会話データ収集、意識調査、テレビドラマにおける使用実態調査、および脚本家の使用状況調査などから、次のようにまとめることが出来る。

(1) 現在の30代末以前の若い女性は、従来の女性文末詞を使用しない。
(2) にもかかわらず、テレビドラマの中では、今なお若い女性たちに従来の女性文末詞を使用させる傾向が強い。
(3) 使用相手や状況は特定されず、家族、友達、恋人、同僚に対しても同様に使用されている。
(4) 女性文末詞使用は、脚本家の年代にかかわらず比較的若い年代の脚本家にも認められる。
(5) 比較的、女性脚本家のほうが「不使用」を意識し始めている。

なぜいまだに男性たちは女性言葉をより求めるのであろうか。アンケート結果からも明らかであるように、男性にとって、女性言葉は「女らしい」「やさし い」「いい感じ」「ロマンチック」「セクシー」などというインプットが影響を与えていると考えられる。実際に自分と同世代の若い女性が使用していないこと を認識しているにも拘わらず、女性にはイメージの中に象徴される「女らしい」話し方をしてほしいという潜在的願望、あるいはそれが女性として自然であると いう認識にとらわれているとも見える。

また、テレビドラマでは、なぜ今なお、若い女性に女性言葉を使用させるのだろうか。現在40代後半以上の脚本家は、自分自身(女性脚本家)が女性言葉を 使うか、あるいは自分(男性脚本家)の若い頃に女性言葉が使われていた世代である。女性言葉使用のステレオタイプというジェンダーフィルターが意識下で当 然のこととなっているのではないかとも推測される。あるいは、それが自然であるとの認識から、若い世代の言葉の中性化をあえて無視しているとも思われる。 しかし、そこには、「女性は女性らしい言葉を話すのが好ましい」或いは「べきだ」とのジェンダーフィルターがかかっていないとは断言出来ない。現在、30 代から40代前半頃の比較的若い世代の脚本家が、女性文末詞を若い登場人物に使用させるとき、「女性は女性言葉を話した方が好ましい」というジェンダー フィルターが内在しているとの疑いが出てくる。この「女性らしさ」「女性はやわらかく丁寧に」「女性は協調的に」「女性はきれいな言葉を」という慣習的な フィルターに敢えて逆らわない傾向がメディアにおいて今後も引き継がれてゆけば、いずれは女性言葉がメディアにおいて化石化してしまう恐れも否めない。

アンケートのなかで、20代、30代の女性が、自分自身が女性言葉を使用しないことは乱暴な話し方(男性的)であるとの潜在意識を報告していた。ある 70代後半の文学者が7,8年前にその著書に「日本人が長年築き上げてきた女性の言語文化を日本文化のなかできちんとその位置を与えるように女性自身が努 力すべきである。」「言葉は心の表現であることを呉々も忘れぬよう、日々努力し女言葉の世界を創造してゆくべきである」とも書いている。この「べきであ る」というフィルターは、今も多くの日本人の心の中に植え付けられていることも事実であるが、一方、そのフィルターに束縛されることに不自然感や不快感を 感じる人もいることも忘れてはならない。

7. 今後の課題

本稿の調査は女性文末詞に限定したものであった。データ量としてはまだ不十分な部分もあるため、今後はさらにテレビドラマのデータを増量し、さらなる詳 細な分析を行うことも必要である。また、脚本家への意識調査を実施し、言葉を創作する側の概念および意図を分析することも重要である。今回のデータ収集の 実施後、2004年下半期に放映されたドラマのデータ収集も継続しているが、徐々に若い世代の女性達が女性文末詞を以前より用いなくなってきた印象も受け る。しかしながら、テレビのコマーシャルや外国ドラマや映画の吹き替え、字幕などは、依然として女性言葉で溢れている。今後は、それらの分野にも研究を拡 大しメディアにおける女性言葉使用の変化に注目し続け、今回の研究結果を検証したい。

謝辞

本研究を遂行するために、会話データ収集協力者をご紹介下さった武蔵野大学の佐々木瑞枝先生と堀井惠子先生、また、データ収集および意識調査に快くご協 力頂いたプランタン日本語教師養成講座の受講生の皆さん、武蔵野大学の学生さん方、また同窓生の石瀬さんとその友人の方々に心より感謝の意を表したい。

1) フジテレビ制作2004年1月~3月放映のテレビドラマより。(本文へ戻る)
2) 東海テレビ、東宝(株)制作 2004年3月~6月放映のテレビドラマより。(本文へ戻る)
3) TBS制作2004年4月~6月放映のテレビドラマより。(本文へ戻る)
4) 2004年3月14日に都内の美術館で収録した20代半ばの男女の 会話。(本文へ戻る)
5) 2004年3月14日に都内の住宅内で収録した20代半ばの男女の 会話。(本文へ戻る)
6) 選択したドラマ名などは、文末の参考文献の後にリストを掲げる。(本文へ戻る)
7) うち1名は、その20代前半の女性がドラマの中で接する相手がすべ て年上であるという設定からか、常に 「です・ます体」を使用しているため、他のドラマの脚本を調査しなければ分からない。(本文へ戻る)

参考文献

  • 鈴木英夫(1998)「現代日本語における女性の文末詞」,『日本語文末詞の歴史的研究』三弥井書店, pp.139-164 
  • 宇佐美まゆみ (1997)「基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese:BTSJ)の開発について」,『日本人の談話行動のスクリプト・ストラテジーの研究とマルチメディア教材の試作』平成7年度~8年度文 部科学省研究費・基盤(C)(2):研究成果報告書(課題番号07680312:研究代表者・西郡仁郎, http://japanese.human.metro-u.ac.jp/kokubun/mic-J/nihongo/mic-j-kaiwa.html
  • 遠藤織枝(1997)「女のことばの文化史」学陽書房, pp.176-177
  • 小川早百合(1997)「現代の若者会話における文末表現の男女差」,『日本語教育論集---小出詞子先生退職記念---』凡人社, pp.205-220
  • 小川早百合(2004)「話し言葉の男女差―定義・意識・実際---」,『日本語とジェンダー』vol.4,日本語ジェンダー学会, https://www.gender.jp/index.html
  • 尾崎喜光(1997)「女性専用の文末形式のいま」,現代日本語研究会編『女性の言葉・職場編』,ひつじ書房, pp.33-58
  • 小林美恵子(1993)「世代と女性語―若い世代のことばの「中性化」について」『日本語学』12-6, pp.181-192
  • 杉本つとむ(1997)「女とことば今昔」』雄山閣出版, p.236
  • 中島悦子(1997)「疑問表現の様相」,現代日本語研究会編『女性の言葉・職場編』,ひつじ書房, pp.58-82
  • マグロイン花岡直美 (1997)「終助詞」, 井出祥子編『女性語の世界』,明治書院, pp.33-41
  • 三井昭子(1992)「話し言葉の世代差---終助詞と副詞を中心に---」『ことば』13 ,現代日本語研究会, pp.98-104

調査テレビドラマ

1. アットホームダッド(関西テレビ:2004年4月〜6月放映)
2. 愛し君へ(フジテレビ:2004年4月〜6月放映)
3. 永遠の君へ(東海テレビ、東宝(株): 2004年3月〜6月放映)
4. オレンジデイズ(TBS:2004年4月〜6月放映)
5. 仔犬のワルツ(フジテレビ:2004年4月〜6月放映)
6. 新科捜研の女(テレビ朝日、東映:2004年4月〜6月放映)
7. 新天まで届け5(総合企画アンテンヌ、TBS :2004年3月〜4月放映)
8. 天花(NHK:2004年4月〜 9月放映)
9. DOLL HOUSE(TBS:2004年1月〜3月放映)
10. ビギナー(フジテレビ:2003年10月〜12月放映)
11. 光とともに(日本テレビ:2004年4月〜6月放映)
12. プライド(フジテレビ:2004年1月〜3月放映)
13. 僕と彼女と彼女の生きる道(関西テレビ・共同テレビ:2004年1月〜3月放映)
14. ほーむめーかー(TBS:2004年4月〜6月放映)
15. 離婚弁護士(フジテレビ:2004年4月〜6月放映)
16. ワンダフルライフ(フジテレビ:2004年4月〜6月放映)

付録
アンケート調査:会話形式の質問例(女性向け)

質問1 あなたが仮に次の状況におかれたとして、選択肢の中の どの話し方をしますか。もし、他の話し方があれば、その他に○をつけ、具体的に話し方をお書き下さい。ただしその場合、a,b,と同じ文末形(動詞、形容詞、名詞など)を使用して下さい。(例えば、<状況A>の場合、「c.その他」の答としては、「行けないかも」「行かないよ」「行けないわよ」などはOKですが、「困っちゃう・・」や「彼に悪いから・・」など全く異なる言い方は不可)

(注) 選択肢b.の文末の「~わ」「~わよ」「~だわ」など の「わ」の用法は、いわゆる「女言葉」に特徴的に表れる尻上がり調子のイントネーション。

<状況A> 好きだった人からの電話。「会いたい」と言われる。あなたには現在他に好きな人がいるので、行けないと思っている。
元彼 : 明日、あの店で待ってる。
あなた: ・・・ご、ごめんなさい。やっぱり私、

a. 行けない。
b. 行けないわ。(↑)
c. その他(           )

<状況B> あなたは長年つきあっていた恋人と別れた。
友人: ほんとに別れちゃったの?
あなた: a. ええ、 あんな男、
     b. うん、

a.  最低!
b.  最低だわ!(↑)
c. その他(            )

<状況C> 男友達が自分の親友と結婚すると決めた。しかし、あな たは親友の心が揺れていることを知っている。それを彼に伝えたい。
男友達: とにかく、俺は彼女とやっていくって決めたんだ。
あなた: そう・・・でも、彼女の気持ちは

a. どうかなあ・・・
b. どうかしら・・・
c. その他(            )

<状況D> あなたの彼氏はケチだ。その不満を母にぶつける。
あなた: ほんとにケチなんだから・・・
母  : あら、誕生日に花束もらったじゃない。
あなた: でも、1本だけ。1本で花束って

a. 言えないよ。
b. 言えないわ。(↑)
c. その他(            )

質問2 あなたは、日頃、ごく親しい友人や家族や恋人/夫など に対して、次の表現を使いますか。○をつけて下さい。
1.もう帰るわ。 : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
2.そうかしら  : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
3.すてきだわ  : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
4.大きいわねえ : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
5.そうなのよ  : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
6.いいわよ   : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない
7.いい名前ね  : a. よく使う   b. たまに使う   c. ほとんど使わない   d. 全く使わない

a.b,に○をつけた方は、どんな場合に使いますか。

a. ちょっと気取って言いたい時
b. 女性らしく振る舞いたい時
c. 相手との関係を良くしたい時
d. 誰か年配の人や目上がそばにいて会話を聞かれている時
e. その他 →(具体的に書いて下さい)____________________

Note: 男性向けのアンケートでは、「あなた」は「彼女」となり、アンケートに答える際は、「彼女」の役にどの話 し方をしてほしいかを選択してもらっ た。また、男性が同世代の女性達が現実に使用している言葉を認識しているかどうかを確認するために、質問2においても「あなたの同世代の女性は、日頃、ご く親しい友人や家族や恋人などに対して、次の表現を使っていますか」と同じ質問に答えてもらった。その理由も「女性がこれらの言葉を使用する場合、あなた はどのように感じますか」と質問し、同様な選択肢を与え意識調査をした。

図表

表1 発話数本文に戻る

 

図1 会話における女性文末詞使用割合本文に戻る

 

図2 女性文末詞選択平均値(20代~40代までの男女全体)本文に戻る

 

図3 女性文末詞使用に対する20代男女の温度差本文に戻る

 

図4 女性文末詞使用に対する30代男女の温度差本文に戻る

 

図5-a 女性文末詞のイメージ:女性本文に戻る

 

図5-b 女性性文末詞のイメージ:男性本文に戻る

 

図6 職業別女性文末詞使用率本文に戻る

 

表2 女性脚本家による女性文末詞使用(本文に戻る

表3 男性脚本家による女性文末詞使用本文に戻る

(水本光美 みずもとてるみ 北九州市立大学准教授)

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